ヒューマンドラマ恋愛・ロマンス

【ギヴン】あらすじ・登場人物・見どころを徹底解説|全9巻完結の音楽×青春BL

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BL漫画のなかで音楽ものの代表格として名前が挙がり続けているのが、キヅナツキさんの『ギヴン』です。2013年から新書館「シェリプラス」で連載され、2023年に全9巻で完結。累計発行部数は約450万部に達しています。

2019年にはフジテレビ「ノイタミナ」枠でTVアニメが放送され、その後劇場版3作へと続きました。BLというジャンルの枠を越えて、「バンド漫画」「青春群像劇」として読まれてきた作品です。

ここでは『ギヴン』のあらすじ・登場人物・見どころを、結末に踏み込まない範囲で紹介します。アニメと劇場版の情報、配信サービスもまとめました。

校舎の踊り場で壊れた赤いギターを抱えて眠る高校生
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『ギヴン』のあらすじ

舞台は東京と神奈川の県境にある郊外の街。高校生の上ノ山立夏は、幼いころから続けてきたギターに情熱を注ぎきれなくなっていました。うまくなりすぎて、胸を焦がすものがなくなってしまったのです。

ある日、立夏はいつもの昼寝場所である校舎の踊り場で、見知らぬ生徒が眠っているのを見つけます。佐藤真冬——弦の切れた赤いギターを抱えたまま、動こうとしません。

しつこく頼まれて弦を張り替え、チューニングを教えてやることになった立夏でしたが、真冬はギターの弾き方をまるで知りませんでした。それでも赤いギターを手放そうとしない。その理由を、立夏はまだ知りません。

転機は、真冬が何気なく口ずさんだ一節でした。その歌声を聴いた瞬間、立夏の中で止まっていたものが動き出します。立夏は、大学生の中山春樹(ベース)と梶秋彦(ドラム)と組んでいたインストゥルメンタルのバンドに、真冬をボーカルとして誘い込みました。

こうして結成された4人のバンドが「given(ギヴン)」です。

しかし真冬には、誰にも話せない過去がありました。かつての恋人・吉田由紀を失っていること。あの赤いギターが、由紀の遺したものであること。歌うことでしか向き合えない喪失を抱えたまま、真冬は初めてのステージに立つことになります。

そして立夏は、真冬に対する自分の気持ちの正体に、少しずつ気づいていきます。

狭いスタジオで練習する4人組バンド

『ギヴン』の主要登場人物

佐藤真冬(さとう まふゆ)

バンド「given」のボーカル兼ギター。立夏と同じ高校に通う1年生です。人と話すのが得意ではなく、感情を表に出すことも少ない。ぼんやりした印象の少年ですが、歌い出した瞬間に空気が変わる圧倒的な声の持ち主です。

抱えている赤いギターは、亡くなった恋人・吉田由紀のもの。弾き方を知らないまま持ち歩いていたのは、それが由紀と自分をつなぐ最後のものだったからです。真冬にとって「歌う」ことは、由紀への感情を言葉にする唯一の手段になっていきます。TVアニメ版の声優は矢野奨吾さん。

上ノ山立夏(うえのやま りつか)

「given」のギター担当で、物語のもう一人の主人公。高校生離れした技術を持ち、音楽に対してはとにかくストイックです。真冬の練習にも容赦がなく、できるまで何度でもやらせます。

一方で面倒見がよく、情に厚い。放っておけずに真冬のギターを直し、バンドに誘い、そして気づけば真冬のことばかり考えるようになっていきます。自分の感情を言語化するのが下手という設定が、この作品の恋愛描写を丁寧なものにしています。声優は内田雄馬さん。

中山春樹(なかやま はるき)

「given」のベース担当でリーダー。大学生で、メンバー最年長です。お人好しでまとめ役、ライブのブッキングから練習場所の確保まで、地味な仕事を一手に引き受けています。

そして秋彦に長年片想いをしているのが春樹です。報われないと分かっていながら距離を詰めきれない。高校生2人のまっすぐな恋と対比される、大人側の停滞した恋愛を担当しています。声優は中澤まさともさん。

梶秋彦(かじ あきひこ)

「given」のドラム担当。大学ではヴァイオリンを専攻しており、複数の楽器を一通りこなす秀才です。整った容姿でとにかくモテますが、本人の生活は荒れています。

その原因が、同居人であり元恋人の村田雨月との切れない関係です。秋彦は雨月から離れられず、そのことを自覚しながら春樹の好意にも気づいている。物語後半でもっとも重い課題を背負う人物と言っていいでしょう。声優は江口拓也さん。

村田雨月(むらた うげつ)

世界的に知られるヴァイオリニストで、秋彦の元恋人にして同居人。秋彦にとって初めての相手であり、雨月にとってもそれは同じでした。音楽と生きることを選ぶために別れを告げたのは雨月のほうですが、気持ちが消えたわけではなく、互いに離れられないまま関係が続いています。声優は浅沼晋太郎さん。

鹿島柊(かしま ひいらぎ)/八木玄純(やぎ げんじゅん)

真冬の幼なじみで、吉田由紀とも親しかったのが鹿島柊です。バンド「syh(シー)」のボーカルとして活動しており、八木玄純とともに、givenと同じコンテストを戦うライバルになります。

由紀の死を、真冬とは違うかたちで抱えている人物です。劇場版第2弾『柊mix』はこの柊にスポットを当てた作品で、原作でも人気の高いキャラクターです。声優はそれぞれ今井文也さん、坂泰斗さん。

吉田由紀(よしだ ゆき)

物語が始まる前に亡くなっている、真冬のかつての恋人。作中では回想としてのみ登場しますが、真冬・柊・そして赤いギターのすべてに関わる中心人物です。由紀が何を思っていたのかが少しずつ明かされていく過程が、この作品の背骨になっています。

ライブハウスのステージでマイクを握るボーカル

『ギヴン』4つの見どころ

① 「歌」がそのまま感情の告白になる構成

この作品の最大の特徴は、登場人物が言葉で説明できない感情を、必ず音楽の側に預けるという構造にあります。真冬は由紀への思いを誰にも語りません。カウンセリングも回想の独白もない。代わりに、初ライブの一曲でそれを全部やります。

歌詞が完成しないまま本番を迎え、ステージの上で言葉が出てくる——という展開は、漫画としてはかなり危険な賭けです。読者に「音」は聞こえないからです。それでもこの場面が成立しているのは、コマ割りと余白、そして観客側の表情で「聞こえている」ことを描いているから。マンガで音楽を描くという難題に対する、ひとつの答えになっています。

② 高校生と大学生、2組の恋愛を並走させる二層構造

『ギヴン』は真冬と立夏の物語だけで終わりません。春樹・秋彦・雨月という大学生側の三角関係が、同じ密度でもう一本走っています。

この2組は対照的に配置されています。高校生の側は、感情の名前がまだ分からない段階から始まる手探りの恋。大学生の側は、名前も結末も分かっているのに動けない停滞した恋です。前者が前に進むほど、後者の身動きの取れなさが際立つ。

原作でいえば5巻以降、物語の重心は明確に大人側へ移ります。「青春もの」として読み始めた読者が、途中から別の重さを受け取ることになる——この落差が『ギヴン』を長く読まれる作品にしています。

③ バンド描写に手抜きがない

音楽漫画としての作りが丁寧です。弦の張り替え、チューニング、エフェクターの配線、スタジオ代の割り勘、ライブハウスのノルマ、コンテストの予選審査——バンドをやったことのある人が「そうそう」と言う部分が省略されずに描かれます。

立夏が真冬にギターを教える場面も、根性論ではなく具体的です。どこを押さえ、どう指を動かし、なぜ音が出ないのか。この積み重ねがあるから、ライブシーンの説得力が生まれます。恋愛パートが苦手な人でも、バンド漫画として読み通せる強度があります。

④ 全9巻で完結、そして「10年後」

連載は2013年から2023年までのちょうど10年。全9巻できれいに完結しています。長期連載にありがちな失速や、風呂敷を広げすぎて畳めなくなる展開がありません。読み始めるハードルが低く、しかも結末まで確実に読めるというのは、いま新しく手を出す作品としてかなり大きな利点です。

さらに2024年からは番外編『ギヴン 10th mix』の連載が始まり、2025年10月1日に単行本が発売されました。本編完結から10年後の彼らを描く内容で、数量限定生産の新作アニメDVD付き限定版も同時に出ています。完結済みなのに続きがあるという、珍しい状態にある作品です。

夕暮れの河川敷をギターケースを背負って歩く2人

アニメ・劇場版の情報

『ギヴン』は映像化がかなり進んでいる作品です。TVアニメと劇場版3作で、原作のほぼ全体をカバーしています。

作品公開・放送内容
TVアニメ(全11話)2019年7〜9月真冬と立夏の出会いから初ライブまで
映画 ギヴン2020年8月22日春樹・秋彦・雨月の関係を描く
ギヴン うらがわの存在2021年12月スピンオフ
映画 ギヴン 柊mix2024年1月27日鹿島柊とバンドsyhが中心
映画 ギヴン 海へ2024年9月20日2部作の後編

TVアニメの放送枠はフジテレビ「ノイタミナ」。制作はLerche、監督は山口ひかるさん、シリーズ構成は綾奈ゆにこさんです。

注意点として、TVアニメ全11話は原作でいうと序盤にあたります。大学生組の物語は劇場版に入ってから本格的に動き出すので、アニメだけを観て「思ったより恋愛が薄い」と感じた人は、そのまま劇場版へ進むことをおすすめします。

『ギヴン』はどこで読める・観られる?

原作コミックスは全9巻+番外編『10th mix』。新書館から刊行されており、紙の単行本・電子書籍のどちらでも購入できます。BLレーベルの作品ですが一般流通しているので、大手の電子書籍ストアであればほぼ取り扱いがあります。

なお本作はKindle Unlimitedの読み放題対象ではありません(2026年8月時点で確認)。読み放題で読める作品を探している場合は、別のタイトルを当たることになります。

アニメと劇場版の配信は充実しています。U-NEXTではTVアニメ全11話・劇場版・OAD「うらがわの存在」がまとめて見放題になっており、ほかにAmazonプライム・ビデオ、dアニメストア、Hulu、ABEMAプレミアム、DMM TVでも視聴できます。

ひとつ注意しておくと、Netflixでは配信されていません(2026年8月時点)。Netflixで探して見つからず諦めた人がいるかもしれませんが、他のサービスなら問題なく観られます。

原作をまとめ買いするなら、電子書籍ストアごとのクーポンや還元率に差が出ます。どのサービスがお得かは電子書籍サービスの比較記事にまとめているので、あわせて確認してみてください。

こんな人におすすめ

バンド漫画・音楽漫画が好きな人にまずおすすめします。恋愛要素を抜きにしても、演奏やライブの描写だけで読み応えがあります。

喪失をテーマにした物語を読みたい人にも向いています。亡くなった人への感情をどう処理するかという問いに、本作は「忘れる」でも「乗り越える」でもない答えを出します。

完結済みの作品を探している人にも勧めやすい1本です。全9巻で終わっているので、途中で止まる心配がありません。

BLは初めてという人にも入口として向いています。性的な描写が物語の主軸ではなく、感情の変化を追う作りになっているためです。

一方で、テンポの速い展開や明快な結論を求める人には向きません。本作は登場人物が黙り込む時間、決められない時間を丁寧に描く作品で、物語が進まない巻もあります。そこを味わえるかどうかが分かれ目です。

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まとめ

『ギヴン』は、弾けないギターを抱えた少年と、弾けるのに弾く理由を失った少年が出会い、バンドを組む物語です。歌えなかったことを歌えるようになるまでを、10年かけて全9巻で描ききりました。

高校生2人のまっすぐな関係と、大学生3人のこじれた関係。この二層構造が、単なる青春ものにも恋愛ものにも収まらない厚みを生んでいます。累計450万部、TVアニメと劇場版3作という実績は、その厚みが多くの読者に届いた結果でしょう。

本編は完結済み、番外編『10th mix』で10年後も描かれ、映像化もほぼ全編カバー済み。いま読み始めるのに、これ以上ないくらい環境が整っている作品です。

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